http://mainichi.jp/articles/20160806/ddl/k13/010/186000c
千代田区一ツ橋2の区道「神田警察通り」で、区が7月に歩道拡幅工事のため街路樹の伐採準備を始めたところ、区民らから反対の声が上がり、区は伐採を一時中断した。反対する区民らは「長年親しまれた街路樹を、何の説明もなく伐採するのは問題」と指摘。区は「区民の意見を聞き説明したい」としている。
区によると、工事区間は共立女子大沿いの約220メートル。4車線(幅約15メートル)の一方通行道路を3車線(幅約13メートル)に減らして、道路両 側の歩道を幅各約3・5メートルから各約4・5メートルに拡幅。歩道上の約半分を「自転車の走行空間」にする。今年3月に着工し、来年3月に完成予定で、 総事業費は約2億円。
伐採予定の街路樹はイチョウ32本、プラタナス5本で高さは約15〜20メートル。区の担当者は「記録が残っていないが、東京市が東京都になった1943年以前からあった」と話す。
区は伐採理由について(1)歩道上で歩行者と自転車の通行を分けるためには街路樹があると狭い(2)老朽化して一部に倒木の恐れがある(3)根が成長し て凸凹に隆起した歩道をバリアフリー化する−−を挙げる。伐採後は別の樹木を植える計画で、学識経験者や町内会、商店街の代表者らで構成する協議会で5年 前から議論し、決めたとしている。街路樹を掘り出して移動する案も検討したが予算・技術両面の理由で断念した。
区が7月に伐採準備のため並木の枝を払ったところ、区民や区内在勤者から「事前の説明がなく突然工事が始まった」「貴重な景観を守るべきだ」と保存を訴 える声が寄せられた。このため区は伐採を中断。千賀行(こう)道路公園課長は「伐採は強行しない。区民の意見を聞き、きちんと説明したい」と話す。
区内では白山通り(都道)や明大通り(区道)でも、電線地中化や歩道拡幅のため街路樹の伐採計画が進む。小枝寿美子区議(ちよだの声)は「すべて 2020年の東京五輪までに環境や景観を整備しようと計画された。長年親しまれた街路樹を、区民や区議会への説明も不十分なまま拙速に伐採するのは問題 だ」と指摘する。【早川健人】
〔都内版〕