令和5年第4回千代田区議会定例会 一般質問と回答

〔小枝すみ子議員登壇〕

○4番(小枝すみ子議員)

第4回定例会に当たり、一般質問をいたします。二元代表制における議会と行政のあるべきについて伺います。

質問に先立ちまして、11月28日及び昨夜29日の夜、区は神田警察通りで静かに木守りをする近隣の女性たちを威圧し、対話を拒否し、伐採を強行したことに強く抗議します。さらに数日前、区は、私を含め木守りに関わる人たちに、神田警察署前道路への立入り、通行を禁止することを求める仮処分の申立てを行い、いまだ審尋期日すら行われていない時点においてこのたびの伐採が行われたこと、それに伴い区は弁護士費用として随意契約で500万円余の報酬を支払うこととし、一晩で8万円の警備員に続く根拠なき契約、コンプライアンス感覚の欠如した区政運営に強く抗議をいたします。加えて、令和4年4月25日区議会企画総務委員会の議事録にあるごとく、街路樹を保存し工事を求める陳情が出て、調査続行が推進、反対双方から声が上がる中で、強行採決の上、委員会では可否同数となった際、これを委員長判断で不採択にし、即日工事強行に至らしめた委員長は、現在、本日も環境まちづくり委員会委員長職を保持したまま、3か月間の長期欠席中です。議会が本会議において委員会条例を見直せばこれを改善できるにもかかわらず、議会運営委員会において、私から、誰がいつどのように委員長と連絡を取っているのかという問いに答えることもせず、当該議員の所在も明らかでないまま委員長であり続けるよう忖度し続ける議会運営の在り方に厳重抗議いたします。加えて、昨日、はまもり議員が契約介入の操作について質問した際、答える立場にないと答弁し、操作があったことを事実上認めながら答えるべき立場の方に答弁を促すことをしない不透明な在り方に、厳重に抗議をいたします。

それでは、質問に入ります。

千代田区の行政が、まちづくりの在り方や公共工事をめぐって、ますます厳しい視線にさらされています。昨日、はまもり議員の代表質問で、ウェルビーイング、住民が幸せになるために自治体行政が内部統制、その他の適正な仕組みを整える必要があることを問題提起しました。それを基に信頼される区政をどう築くのかという問いの答えの1つが、行政と議会の二元代表制を適切に理解し、区民に見える公開の場で誠実にその職務を行うということが求められていると考えます。その先に住民が信頼できる行政サービスを享受することができる。そのために私たちは様々な問題を乗り越えていく必要があります。しかし現実は、一部において問題を乗り越えるどころか、今ある問題の上にさらに問題を上塗りする傾向があります。ボタンの掛け違いは一度でもその後が大変なのに、それを何度も繰り返してしまえば、住民がどれほどに歩み寄り、将来のために調整を図ろうとしても、普通にやっていけばすんなりと進むこともわざわざ難しく不信感を増大させることになりかねないということを危惧しています。(スクリーンを資料画面に切替え)

こちらをご覧ください。日本の地方自治は国会のような議院内閣制とは違って大統領制を採用しています。共に住民と議会を直接選挙で選び、長と議会が適度な緊張感を持って対等な立場で政策の方向性を決めるという仕組みを取っています。

こちらは議員必携です。昭和29年の初版から、現在は12版、地方自治制度の教科書のように議員全員に配付され参考としているものです。議員必携には、議会が持つ2つの使命として以下のように記述されています。2つの使命とは、具体的な政策の最終決定。行財政運営の批判と 31 監視。この1点目の具体的な政策の最終決定とは、すなわち議決のことですから、こちらは至ってシンプルです。2点目の行財政運営の批判と監視、このプロセスが大変重要なわけですが、千代田区においては極めて行政によって軽んじられ、もっと言えば疎んじられているという現状にあります。なぜ重要かといいますと、行政は議会が決定した予算に基づいて行財政運営や事務執行を行うわけです。この在り方について、議会は広く行財政全般にわたる事務の処理について住民の立場に立って監視する責任があります。それは、地方分権で強大な権力を持つに至った地方公共団体の長、すなわち千代田区においては区長が独断専行することがないよう、互いに独立しその権限を侵さず侵されず、対等の立場と地位にあると、この議員必携に記されております。  (スクリーンの資料画面を切替え)

次です。図に示すとおり、都市計画に係る予算は議会の議決で承認されたものです。議会で決定した予算をどう執行するかは議会の監視、評価事項です。議会は都市計画を含め行財政全般にわたり政策形成過程や政策の実施過程について住民の立場に立って監視機能を果たす役割という認識を行政は現在果たして持っているでしょうか。どのような内容の都市計画をどのような方法で決定していくのか、公式の公開の委員会の場において報告する、質疑する、住民の立場に立って、果たして適切な内容、方法となっているのか、公開の場で論じる必要があるとこれまで認めてきたので、都市計画審議会開催の前に所管の常任委員会、前議会においては企画総務常任委員会、現在の議会においては環境まちづくり常任委員会において、事前に資料を提供し、議会へ説明責任を果たしてきたというのがこれまでの決まったやり方でした。ところが、11月6日開催された都市計画審議会で、二番町地区の都市計画変更の新たな議案を行政は議会に報告をしませんでした。議会に一切報告も相談もすることなく都市計画審議会に諮り、多くの先生や住民代表の方々が、もう少し知恵を出すべきではないか、譲れないラインは何かを示すべきではないか、熟議を通して明るい未来を考える姿勢を取っていただきたいなどと再調整を望まれる発言が相次ぐ中で、区としては、これで都市計画の手続に入っていきたい、そう宣言して、今月21日から公聴会も説明会も飛ばした上で16条手続に入ってしまいました。

議会に資料を出して、今後の日程や都市計画手続のやり方について報告しなかったのはなぜでしょうか。住民の立場に立っての監視機能を果たす議会を避けたということにはならないでしょうか。これまで環境まちづくり部は、住民の権利や財産に関わる都市計画手続とは思えない、荒っぽい進め方をしてきました。例えば、外神田一丁目再開発計画においては、84%、すなわち31名地権者中26名が同意と区議会説明をして、住民地権者からの陳情でそのようなはずはないと調査が求められ、16条調査で正確な意向確認をしてみると、これは都市再開発法上は50%だったということが明らかになりました。驚くべきことでした。住民地権者の意向把握という都市計画手続前に当然行う前提です。また、都市計画運用指針にも定められた公聴会及び大街区指針で定められた説明会も、住民の陳情で求められて初めて行うということになりました。議会の指摘がなければ住民も地権者も知らないところで都市計画が進んでしまう状態になっていたことは、今振り返っても問題があったという認識はおありでしょうか。また、住民目線に立てばそのようなことが二度と起こらないように業務の在り方を改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。(スクリーンの資料画面を切替え)

次です。これは16条の結果報告にも大きなミスが発覚したことから、議会の代表と行政とで正確な数字をはじき出したときの報告です。区は、区議会が住民の立場に立って監視機能を果たすことを回避しているのではないか、改めてお答えください。(スクリーン表示を元に戻す)

二番町日テレ再開発についても、都市計画の専門家からは、一所有者の不整形な土地の地区計画提案は違法もしくは極めて不適切と指摘されるやり方で強行しようとしたところ、区議会と都市計画審議会双方の判断でやり直しの現在に至っています。新たなスタートを切る大切なところで議会への報告も相談も何もないまま区長権限のみで強行したような状態です。議会には、真意をただす陳情は複数残されたままさらに増え続けています。東側に隣接する女子学院中学・高校から出された要望書は、間に合う日程で都市計画審議会に示されることはなく、区の権限のみで手続を強行してしまいました。都市計画の権限ある首長が議会の監視機関を回避しました。独断専行してしまったわけです。これが正常と言えるでしょうか、お考えを伺います。

千代田区がどの問題についても共通しているのは、区民がどう思っているのか、これを明らかにしないということです。民意を把握しないで議会は仕事ができません。二番町においては、通常であれば閑静なる住居地域に再開発等促進区で容積を緩和すると主張しただけで普通は納得がされません。しかし、このエリアにおいてはバリアフリーと広場の必要性をおよその見込み、最大530%をおよそ700%まで拡大することを、地域課題を満たし地域の大方の理解が得られれば都市計画マスタープランの逸脱があっても80メートルを上限とする高さ緩和までは可とする枠組みができてきた、ようやくここまで来たにもかかわらず、容積も高さも所与のものとして1案のみで強行してしまったことで、住民が選んだ選択ということではなく、またもや行政に押しつけられてしまったという不納得感を残すのではないかと心配されます。

区は都市計画審議会の判断で手続のやり直しをすることになったことについて、事業者側に偏り過ぎるあまり、手続の公平性を担保できなかったという点で反省すべきところがあるのではないかと思いますが、認識がないと同じ過ちを犯してしまいますので、あえてご認識を伺います。

委員会への報告がなされず質疑ができませんでしたので、ここで伺います。二番町地区計画見直しのやり直しに当たり、これまでの計画と違い、住民にとってのメリット、デメリット、周辺への影響、地権者のみでなく影響を与える住民に改めて公聴会を行う必要性があります。まちづくりは住民が納得しながら決めていくものです。90メートルから80メートルに高さを変えた今回の計画案について、私自身もまだ何が変わって何が変わらないのか、都市計画図書案を見えていないという状況です。住民に問われても説明ができません。このまま住民も議会も理解しないまま進めていいのでしょうか。公聴会の開催をすべきと考えますが、区の考えを伺います。

17条意見書についても、件数の誤りの指摘、同一文書をコピーした筆跡も同じ賛成票が多数あったこと、ほかでは電話番号がなくても受け取らないなどというものがあった中で、住所の番地がなくても受け取っているなどの指摘もあります。それをそのままにして次の手続で信頼されるはずがありません。また、住民、利害関係人という帰属について明らかにすることは民意の状況を正しく把握する上で必要ではないでしょうか。疑義があるまま進めてはならないと考えますが、区の認識を伺います。新たな手続における提出者の住民、利害関係者の明確化をすべきではないかということについて区のご見解を伺います。(スクリーンを資料画面に切替え)

次です。地方自治法の改正について認識を伺います。地方自治法89条です。この4月までは「普通地方公共団体に議会を置く」、この1行でした。それが今年改正をされまして、1項に、議事機関(多人数の合意によって団体の意思を決定する機関)と明記をされ、2項には検査及び調査その他の権限を行使する。3項には住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならないと明記されました。首長の強大な権限は二元代表のチェックが働かなければ裏政治、密室政治、区民不在の偏った行政になりかねません。そういう点から議会の位置づけが大変重要視され、公式の場で公開で議論を行うことで後々に禍根を残さないことが今大変重要ではないかということで区長のお考えを伺いました。公式の場、公開の場を不自然に避ければ、結局は力のある議員や事業者など、一部の者たちと裏で調整するということが生じることを許してしまいます。内部統制のためにも、区議会所管の委員会という公式の場、公開の場を重んじていくことが千代田区政が住民、納税者に抱かせる疑念、行政の在り方を正す重要な方法であるということを、これをオープンに進め、自分の思いどおりでなかったとしても、正しい手続の下に住民が決めた選択なのだと、将来にわたって思えるのかどうか、そこが今一番千代田区政に問われているのだと思いますが、いかがでしょうか。議会軽視は後にさらなる混乱を残すことにはならないか、率直なお考えを伺います。

区長、理事者の誠実な答弁を求め、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

〔まちづくり担当部長加島津世志君登壇〕

○まちづくり担当部長(加島津世志君)

小枝議員のご質問にお答えします。

初めに、二番町です。議会に一切、報告、相談していないとのことですが、9月28日の委員会で資料を基に経緯を含め報告し、10月13日には、専門家会議でも確認された日本テレビの案を日本テレビ沿道まちづくり協議会にも報告することの説明、次回の都市計画審議会でも再検討案の内容についてご報告させていただきたいと説明をしております。

また、3月3日の、小枝議員も委員であった環境・まちづくり特別委員会では、委員会として、議会はこの開発の是非について結論、見解を出す立場にはない。このようなケースにおける地区計画制度の変更の手続は、区長の諮問機関である専門性を有する都市計画審議会において慎重かつ丁寧な審議を行い、特定行政庁としての責任を果たさなければならないと集約されました。このことを踏まえながら、その後の専門家会議等の手続などを含め、議会にも状況報告してきたことはご理解いただければと思います。

都市計画のやり直しは、昨年度の都市計画内容と異なることから、法制度上で新たな手続が必要であり、事業者側に偏っているということはございません。公聴会については、既に多くの意見を聞いていることから、都市計画審議会の学識委員からも、そうした声もしんしゃくして再検討を行う際の方針を専門家会議で取りまとめたと説明を頂いており、再度の公聴会の開催は不要であると考えております。

17条意見書については、都市計画法に意見書の要旨を提出すべきことが定められているとともに、都市計画審議会会長からも、重要なのは論理、内容であるとの見解が示されており、数による判断や属性ごとの意見の集計結果を明確化することは考えてはおりません。  次に、外神田一丁目再開発では、都市計画の手続を進める段階において同意率に関するご質問があり、準備組合の参加率をもって同意とみなし、その数値を報告しました。その後、議会からの要請に応じ、区自らが一人一人の地権者の意向を確認した後、組合設立時に用いられるカウント方法で同意率を集計し、その結果を報告しました。このように、区としては、議会の要請を受け真摯に受け止め対応してきたとの認識でございます。

〔政策経営部長古田 毅君登壇〕

○政策経営部長(古田 毅君)

小枝議員のご質問のうち、議会の監視機能や地方自治法の改正に関してお答えをいたします。

初めに、議会の監視機能につきましては、議会は地方公共団体の意思を決定する機能及び執行機関を監視する機能を担うものとして、同じく住民から直接選挙された首長(執行機関)と相互に牽制し合うチェック・アンド・バランスにより地方自治の適正な運営を期するものであると認識をしてございます。

次に、ご指摘の地方自治法の改正につきましては、多様な層の住民の地方議会への参画を促進するため、地方議会の役割や責任及び議員の職務等を法律上明確化することが趣旨であると認識しております。総務大臣通知においても、法改正は議会の役割や責任、議員の職務等の重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を規定するものであり、新たな権限や義務を定めるものではないとしております。いずれにいたしましても、これまでと同様、議会の皆様と共に車の両輪となり、区民の皆様に疑念を持たれることがないよう区政運営に努めてまいります。

○4番(小枝すみ子議員)

4番小枝すみ子、自席から再質問いたします。

何が違っているかが、とてもよく分かりました。3月3日の議会は、この開発の是非について結論を出す立場にない。それは、私はそのとおりだと思います。(ベルの音あり)私が、例えば議員が、80がいいかとか90がいいかとか、150がとか、それは議論はするけれども、やっぱり決めるのは区民なんですね。区民、その民意をしっかりと取っていく適正な手続が図られていれば、その下でおのずといい結論になっていくんです。その、予算も出して見せましたけれども、やり方として議会が関与しなければ、いろんな手続がはしょられてしまう。特に、都市計画の専門家の先生方が導き出した考え方が、適正に行政が執行、ここでしているかしないかを議論するのは難しいですが、私はしていないと思う。そこの手続において、しっかりとした民意を把握できる、しかも信頼できる、意見書の改ざんとかそうしたものがないか疑義がある中で、そのまま進めてはならない。議会がいい悪いを決めるとは言っていない。公開された中で民意を決めてほしいと言っています。(ベルの音あり)

〔まちづくり担当部長加島津世志君登壇〕

○まちづくり担当部長(加島津世志君)

小枝議員の再質問にお答えさせていただきます。

質問の要旨は民意を聞くことということですので、今、都市計画手続の中で、まさに16条、17条でそちらを聞くという形になっているというところでございます。

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