昭和10年2月に開場し、いまや日本にやってくる全世界のツーリストが必ず行きたい場所のひとつとしても有名なTSUKIJI(築地市場)日本の食にとって重要な市場のひとつなのは皆さんご存じのところですね。
それが市場の老朽化、施設構造が現在のニーズにあわなくなってきた、過密化や狭あい化そして品質・衛生管理の課題から、平成13年に都と業界との協議機関により豊洲市場にへの移転が決定されました。そこから様々な計画や会議を経て土壌汚染対策等など問題にも対応しながら今年平成28年11月の移転を迎えることになっています。
しかし。
この時点において様々な問題が次々と明るみに出てきており、それへの対処が不透明なまま移転を迎えるのは無理ではないかといった声があがっています。
①床の積載荷重問題
通常2トン(2000kg)ほどの重みになるターレトラックと呼ばれる市場内を動き回る構内自動車が常に走行や停車を繰り返していますが、豊洲市場の床では積載荷重が700kgまでと半分以下であるとのこと。これでは早晩床が抜けてしまいます。
②床に海水を使えない問題
海水魚を扱う市場において、海水は床に流さないでくださいという要請が都から築地の仲卸で働く人達へきたとのこと。海水では床がボロボロになってしまうらしい。真水ならOKということだが、真水を使う場合その水道費用がどうなるのかや水たまりから発生するボウフラや小バエの幼虫など不衛生きわまりない環境となることが容易に想像できる。誰もそんな虫が沸いてでる市場で扱われた魚など口にしたくないだろう。
③建築物の構造強度不足の問題
砂層や粘性質からなる軟弱地盤に建つ建物は年々傾いたり、地震の液状化で傾く可能正があります。また造成以前からある土壌汚染なども正確に把握しなければいけません。そんな地盤に関するトラブルを防ぐために地質調査が必要です。その調査にはボーリングBoring(=くりぬくこと)によって掘削した孔を利用して、1mごとに地盤の硬さを測定する標準貫入試験を行なうボーリング調査という手法が利用されます。豊洲の広さを考えると一般的に150カ所でボーリング調査をしなくてはいけない計算なのですが、都はたった8カ所を調査しただけで着工に踏み切ったと言われています。都の見解としては「周辺の道路工事や水道工事の際に行った調査結果から推定したので新たな調査は必要ない」のだそうです。豊洲市場の建築面積は約15万平方メートルの広さなのですがその周辺を以前確認したから大丈夫という理論は大丈夫なのでしょうか・・・
④氷不足問題
発砲スチロールの中で鮮魚を冷やす為に大量に必要な「バラ氷」。皆さんの食卓に届くまで鮮度を維持するのに非常に大事なこの氷。豊洲での最大貯氷量は築地の4分の1相当の45トンしかないそうです。またいけすの海水を冷やす「角氷」というのも市場には必要不可欠ですが豊洲にはこれを作る設備は全く無いそうなのです。
このほかにも、作業工程を考えた場合の場内における導線が悪すぎる問題、店舗の作業スペースが狭すぎる問題、ベンゼン汚染が305区画が未検査のままである問題、トラックやトレーラーの出入りに関する調査台数の足し算の結果が間違っていることを気づかないまま稼働想定されていたことなど、次から次へと細かいことも言い出したらきりが無い状況なのです・・・。
しかもこの問題だらけの設計者選定はコンペではなく、プロポーザルでした。都は公募見積もり合わせを実施し、8610万円で日建設計に決めた。工期は2年6カ月、施設の工事費は約970億円と見込まれていました。
コンペは設計競技と言われるように、主催者が条件をしっかり組んで、その設定条件の中で設計しなければいけないものです。
しかし、プロポーザルというのは、応募する側に企画の自由度があり、市場のありようそのものから問う募集方法でした。
ということは積載荷重条件ひとつについても、提案側である日建設計に一任されていたものと考えられます。もちろん、その提案内容を評価した都側にも大いに責任があるのですが・・・。
いったい全体どうなってしまうのか。私たちに安全な食が届くのか、そして市場で働く人達や関連業者の皆さんが安全に働けるのか、疑問はつきません。私たちちよだの声では、まずは11月7日に予定されている移転についていったん止めて再検証すべきと考えています。
皆さんは、どう思われますか?